大学の国際化を考える

最近、大学の国際化について考える機会が増えてきました。国際化の指標としてよく取り上げられるもののひとつに留学生の数があります。では留学生を増やすにはどうすればよいのでしょうか。まず授業を英語で受けられ、事務手続き等も英語でできるようにすることは必要なことに思えます。今検討されている9月入学も留学生の敷居を下げる効果はあるかも知れません。

しかし、それだけで留学生が来てくれるでしょうか。英語で授業が受けられるだけなら英語が標準語の国に行くほうがよいし、9月入学の国も他にたくさんあります。数ある国や大学の中から選ばれるには、日本にしかない、この大学にしかない、そして、さらにいえばこの研究室にしかない「何か」を提供する必要があると思います。

ではその「何か」とは何なのか。それが簡単に分かれば苦労はありませんが、確実な答えのひとつは、他を圧倒する研究成果ではないでしょうか。そのためには研究を妨げる要因はなるべく減らす必要があります。例えば英語で授業をするにしても、入学時期を変更するにしても、研究を妨げないでできる方法を慎重に考える必要があるでしょう。

もうひとつは、他所にないユニークな研究をすることでしょう。その点において言えば、独自の文化を持ち、不思議の国として知られる日本は素質があるのではないでしょうか。その不思議を欠点と考えず、長所として生かす道がありそうな気がします。

日本で独自の進化を遂げたものの例としてよく「ガラケー」が挙げられます。「ガラケー」自体はあまり成功例とは言えませんが、その語源となった「ガラパゴス」は独自の進化を遂げた生態系に価値があります。大学にも研究にも独自の進化があってもよいのではないでしょうか。では、どのように進化すればよいのか。それも簡単にわかることではありません。しかし、少なくとも「進化」するためには、「多様性」が重要です。多様性を生むにはボトムアップ型の研究体制の強化が必要でしょう。回り道のようですが、ボトムアップ型の研究制度と研究費の充実が多様性を生み、ユニークな研究を育むように思います。