共生細菌と年末年始の胃腸

明けましておめでとうございます。
 
さて、私達の主要な研究テーマのひとつとして、深海の熱水噴出域に棲む貝と、硫化水素を使って有機物を作る硫黄酸化細菌との共生があります。
この共生において、宿主の貝は、熱水中の硫化水素をせっせと取り込んで、体内の共生菌に与えなければなりません。硫化水素の供給がないと、共生菌は有機物を作れませんから、結果として宿主は栄養不足になりますし、共生菌自体もどんどん減少していきます。
 
私たちの腸にも、様々な共生菌(腸内細菌)がいます。
その一部は、私たちが消化できない物質、例えば植物のセルロースなどを分解して、利用できるようにしてくれます。セルロースを分解する菌にとっては、セルロースが生きるための栄養ですから、宿主の私たちが野菜を食べなかったら、菌は減っていきそうです。
 
年末年始で胃腸の調子が悪くなった方も多いのではないでしょうか。
飲み過ぎ・食べ過ぎはもちろん不調の主な原因でしょう。
しかし、普段と違う食べ物を食べることにより、腸内の細菌叢が変わってしまう影響もありそうな気がします。