深海生物を飼えたら

深海生物を研究する上で一番のネックは、研究材料の採集です。
一度採集してしまえば、DNARNAの研究はできるのですが、機能を調べようと思うと、生きている材料が必要です。
 
私達は毎年、海洋研究開発機構の深海研究船の公募に申請して、採択された時だけ採集に行くことができます。
ハイパードルフィンは使い道が広いので人気があり、とくに競争率が高いのです。
しかも来年は、母船である「なつしま」「かいよう」が揃って退役してしまう予定のため、採集の機会がないかも知れません。
 
深海生物の研究をコンスタントに行うには、深海生物を手元で飼えたらいいのにと思います。
幸い、私達が主な研究対象にしているシチヨウシンカイヒバリガイは、常圧の水槽でも長い間飼育できます。というより、長く飼えるので、この種を研究対象に選んでいるわけです。
今回採集した生物も、陸上で維持して実験に使います。(写真は過去のものです
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しかし、私たちの飼育技術は十分ではないので、実験を開始するまでは飼育のプロの新江ノ島水族館預かってもらっています

新江ノ島水族館では、繁殖技術の研究も行っているので、将来、水族館生まれの深海生物で研究ができるようになるといいなと、大いに期待しています。